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診療支援部

薬剤科

 薬剤師と聞くと、処方箋に書かれた薬を集め(調剤し)、患者様に飲み方や副作用の説明をして
薬を渡す仕事というイメージが強いと思います。しかし、実際は、薬物治療が患者様個々に合わせて
適切に行われるよう薬学的見地から医師の処方にアドバイスをする役割を担い、近年では医薬品の
適正使用を促し、医薬品による事故を未然に防ぐためのリスクマネージャーとしての側面も
評価されているところです。当院でも薬剤師が医師の処方に関与し、患者様にとって
最良の治療となるよう努めています。

業務内容
1.処方監査
 処方監査とは、薬剤師が医師の処方した内容について適切であるか確認することです。
 薬剤師は、患者様個々の薬歴(やくれき)を作成しています。薬歴とは、患者様が
現在服用または使用しているお薬の内容や今までの副作用の記録などを把握するものです。
新たにお薬が処方された時にこれを見て、他のお薬との飲み合わせや副作用を起こす可能性が
ないかなどを確認します。
 また、処方されたお薬の量や飲み方に間違いがないか、患者様の性別や年齢、
検査値などを基に確認し、少しでも問題があれば医師へ問い合わせ(疑義照会)、処方内容を調整します。
 こうして患者様に最適な処方にした上でお薬は調剤され、患者様のもとへ届きます。
薬剤科疑義照会図

☆お薬の組み合わせに注意しなければいけないのは、飲み薬同士だけではありません!
 飲み薬でも注射薬でも患者さんの体の中に入ることに変わりありません。
体の中に入ったお薬は、血液中に入って全身を回りますので、使い方の異なる薬でも
その組み合わせを確認する必要があります。
 また、飲み物や食べ物との組み合わせによってもお薬の効果に影響が出る場合がありますので、
患者様の食生活やお薬を服用する時の飲料(お茶やコーヒー、ジュースなど)といった
嗜好にも注意する必要があります。
薬剤科飲み合わせ図

2.調剤
①内服・外用薬(飲み薬・塗り薬や貼り薬など)
 患者様の状態に合わせた調剤方法を選択します。
 内服薬については原則的に一包化調剤を行っております。一包化調剤とは、同じ用法のお薬を
食前同士や食後同士などで一回分ずつにまとめて袋詰めすることです。また、患者様によっては
飲み込みが上手くできない方や管などから薬剤を投与される方もいらっしゃるので、そのような方には
錠剤を粉砕して調剤することもあります。
 塗り薬の軟膏類は、医師の指示があれば複数種の薬剤を混合調剤します。
但し、薬剤によっては混ぜ合わせることのできないものもありますので、
医師と相談して処方を変える場合もあります。

               【薬局(調剤室) 】
薬剤科薬局(調剤室)画像

                [一包化調剤]
           薬剤科一包化調剤

        [粉剤調剤]           [軟膏類混合調剤]
    薬剤科粉砕調剤軟膏類混合調剤画像

②注射薬(点滴など)
 内服薬同様に処方された内容が適切か確認し、処方箋に従って患者様個別に薬剤を取り揃えます。
        薬剤科棚画像

 当院では、設備的な事情により薬剤師による注射薬のミキシング(点滴のボトルに処方された
他の注射薬を混ぜること)は行っておりませんが、看護師が注射薬を混ぜ、患者様へ投与する際に
間違えが起こらないよう、注射薬に患者様の氏名や薬剤に関する注意事項を記載したラベルを貼り、
混ぜ合わせる薬剤をひとつにまとめた形で病棟へお渡ししています。
薬剤科大森太郎画像

☆注射薬にも混ぜ合わせることができないものがあり、やはり組み合わせの確認が必要になります。
何本も点滴のルート(管)がある場合には、それらルート内であっても混ぜると危険なものもありますので、
処方内容の確認や看護師など他職種への注意喚起は重要になります。

           薬剤科注射薬の混合方法図

                  [配合変化を起こした注射薬]
         薬剤科配合変化を起こした注射薬画像

組み合わせを間違えると写真のように薬剤が結晶化してしまう…。
※この変化が点滴ルートの中でも起こるのです!! 体内で起こるととても危険です!!!

3.持参薬管理
 当院では、患者様がそれまでに処方されたお薬やお薬手帳等を入院時にお預かりさせて頂いております。
薬剤師がその内容を確認して主治医と相談し、入院中に必要なお薬については、お持ち頂いたお薬を継続して
服用(使用)して頂いております。
 入院中のお薬を全て当院のものに替えてしまうことも可能ですが、せっかく患者様が購入した
大切なお薬が無駄になってしまいますので、使用可能なものはなるべく続けて使用するようにしています。
※病状によって処方が変わる場合もありますので、使用できないお薬があることを予めご了承ください。
薬剤科持参薬管理画像

 持参して頂いたお薬の内容とともに患者様のアレルギーや副作用歴も確認させて頂きます。
過去にアレルギーのあった薬剤を把握し、副作用を未然に防ぐため薬歴に記録し薬剤師が管理しております。
薬剤科持参薬画像

4.医薬品情報管理
 医薬品に関する情報は、新たな副作用や使用する上での注意事項など様々な項目が頻繁に更新されます。
これは薬物治療を安全に行うために必要不可欠な情報であり、薬剤師に限らず、お薬を扱う医療従事者であれば
知っておかなければならないことです。
 薬剤科では、医薬品に関する最新の情報を定期的に関係部署へ発信し、共有するよう努めています。

☆厚生労働省から発信される医薬品情報…
            薬剤科医薬品安全管理情報画像
        【医薬品・医療機器等 安全性情報】 【医薬品安全対策情報 Drug Safety Update:DSU】

        薬剤科緊急安全性情報画像
           【緊急安全性情報(イエローレター)】  【安全性速報(ブルーレター)】

◎お薬のことで分からないことや聞きたいことがありましたら、
 いつでもお気軽に薬剤師までお問い合わせください。

 
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